日本生殖医学会は、「生殖医療ガイドライン2021」を作成しました。
このガイドラインは、医療従事者に向けて、不妊治療のための検査や標準的な治療方法などをまとめているものです。
不妊治療では、医学的エビデンスが不十分な段階で新たな技術や薬が診療に導入されてきた背景がありますが、2022年度からの不妊治療の保険適用を前に、標準的な治療方法を明確にする必要があるため、策定されました。学会では「質の担保された治療が提供され、患者の費用負担が軽減されることを期待する」としています。
このガイドラインは日本生殖医学会のウェブサイトにて詳細をご覧いただけます。
生殖医療ガイドライン原案と方針の公開について
一般社団法人日本生殖医学会|生殖医療ガイドライン
また、このガイドラインでは、臨床的質問(クリニカルクエスチョン・CQ)ごとに回答(アンサー・A)が定められており、推奨度は以下の3つに分類されています。

男性不妊の40%にある精索静脈瘤は、精巣やその上の精索部(精管、血管、神経、リンパ管などを覆う膜)に静脈瘤(じょうみゃくりゅう・静脈の拡張)が認められる症状のことを指します。一般男性の15%に認められ、男性不妊症患者の40%がその疑いであるとされています。
また、2020年に策定された「産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2020」でも同様に、不妊に関するクリニカルクエスチョンとその回答および推奨度が定められています。
これによると、男性不妊治療は以下のように定められ、泌尿器科的検査も「B:勧められる」となっています。
CQ320:男性不妊治療は?
| Answer | 推奨度 |
|---|---|
| 男性不妊症の原因検索は泌尿器科医と連携して行うことが勧められる。 | B |
| 乏精子症に薬物療法を行う。 | C |
| 軽度の乏精子症,精子無力症に対して配偶者間人工授精(AIH)を行う。 | B |
| 重度の乏精子症,精子無力症に対して体外受精・顕微授精を行う。 | B |
| 無精子症・重度の乏精子症の原因検索および治療に際しては,男性不妊を専門とする泌尿器科医と相談し,治療方針を決定する。 | B |
| 無精子症などの夫の精子による妊娠が困難と考えられる場合に提供精子を用いた人工授精(AID)を選択することができる。 | C |
| 勃起・射精障害などの性機能障害に対しては,泌尿器科医と連携して治療を行う。 | C |
このことから、産婦人科領域においても、男性不妊症は泌尿器科的検査が勧められていると言えます。
冒頭でご紹介した「生殖医療ガイドライン2021」では、CQとそれに対するアンサーは下記のように定められています。
CQ4:
| Answer | 推奨度 |
|---|---|
| 両側卵管機能を喪失している不妊症例の場合、体外受精を行う。 | A |
| 重度男性不妊症例の場合、泌尿器科的検査を行う。 | A |
| 重度男性不妊症例の場合、体外受精・顕微授精を行う。 | B |
| 精巣や精巣上体より外科的に採取した精子を治療に使用する場合、顕微授精を行う。 | A |
| 原因不明不妊等、男性不妊症例以外に生殖補助医療を施行する場合の初回治療で、いわゆるsplit inseminationの施行が考慮されることがあり。 | B |
このように、2021年の生殖医療ガイドラインでも、男性不妊症に対する泌尿器科的検査は「A:強く勧められる」に位置づけられています。
ガイドラインのアンサーにもよく出てくる「泌尿器科的検査」とは、どのようなものを指すのでしょうか。泌尿器科的検査は、泌尿器科医が行っております。
泌尿器科的検査の目的は、医学的根拠が高く、根本的な男性不妊治療ができる3つの病気を早く発見して治療することであるとされています。
この3つの病気は、治療可能である以下を指します。
泌尿器科的検査では、主に陰嚢、精巣、精管、精巣上体の検査を行います。
・視診
・触診
・サイズ測定(正常は14ml以上)
・有無
・太さ
・大きさ
・圧痛や違和感の有無
・腫瘤触知の有無
上記に加え、以下のような目的でエコー検査も行われます。
・精巣腫瘍
・精液瘤
・精巣水瘤
婦人科や泌尿器科での一般検査には、以下のようなものがあります。
無精子症の検査には、以下のようなものがあります。
銀座リプロ外科では年間800例を超える精索静脈瘤手術を行っております。中でも永尾光一医師はナガオメソッドにより20年以上、精索静脈瘤手術をしており、その手術数は10,000例程度となります。日本ではまだあまり知られていない診療が多いですが、より多くの患者様に気軽に相談していただければと思っております。
c 2019 Association of Microsurgery, Ginza Reproductive Surgery.