「骨盤臓器脱の治療法」で調べると必ず目にするペッサリーとは、「どのような器具なのか」「自分に合うのか」と気になっていませんか。
ペッサリー療法は、体力が低下している高齢者や、手術するほど進行していない骨盤臓器脱の方に勧められることが多い治療法です。体を傷つけずに症状を抑えられますが、腟に異物を挿入するため合併症や違和感の原因にもなります。
本記事では、ペッサリーの使用を検討している方に向けて、効果・使い方・費用・欠点といった基礎知識を詳しく解説します。自分に合った治療法を探すために、ぜひ参考にしてください。
骨盤臓器脱の治療に使うペッサリーについて、以下のポイントにわけて詳しく紹介します。
医師に勧められるままにペッサリーでの治療を選択すると、予期せぬトラブルが起こった際に対処できない可能性があります。自分に合った治療方法を選ぶために、ぜひ正しい知識を身につけましょう。
ペッサリーとは、腟内に入れ、下垂した臓器を支えたり脱出を抑えたりする器具です。骨盤臓器脱の患者さんのなかで、約3分の2の方が勧められる方法であり、以下のような特徴があります。
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特徴
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詳細
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即効性がある
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装着直後から症状の軽減が見込める
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可逆性がある
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合わない場合は外せば元に戻せる
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形状・サイズを選べる
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さまざまなタイプ・大きさがある
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性交渉を行える場合もある
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自己着脱型なら可能である
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ペッサリーは、手術をすぐに行えない場合の一時的な対処法としても使われます。
骨盤臓器脱治療に使うペッサリーの種類は、以下のとおりです。
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ペッサリーの役割
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型の種類
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詳細
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臓器を下から支える
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リング
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ゲルホーン
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腟のスペースを占拠して
臓器の脱出を防ぐ |
ドーナツ
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中等度でリング型が合わない人に勧められる
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キューブ
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臓器の保持力は高いが長期使用には向かない
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シリコンで作られている製品が多く、多種多様な形・大きさがそろっています。自分に適したペッサリーを選ぶためには、医師の指示と観察のもとで、ある程度の数の種類を試さなければなりません。
ペッサリーを使う際は、まず婦人科または泌尿器科で脱出部位と骨盤臓器脱の程度を評価してもらったあと、適切なサイズを選択します。ペッサリーの着脱方法には、以下の2つがあります。
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病院で実施してもらう
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自分で行う
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高齢で手の力が弱いと、自分での装着が難しいこともあるでしょう。頻繁な通院の可否や自己管理能力を医師と相談し、安全に治療を続けられる選択をしてください。
骨盤臓器脱の治療に使うペッサリーは、原則として保険適用されています。初診料や再診料に加えてかかるペッサリー代の目安は、約5,000~10,000円です。
ただし、保険診療での受診には以下のような回数制限があります。
自己着脱の指導料は、公的保険が適用されません。自由診療となり、約2,000~4,000円がかかります。自由診療と保険診療の混合は認められないため、指導だけ別日に実施する医療機関もあるでしょう。
実際の負担額は、医療機関や使用するペッサリーによって差が生じます。詳細はかかりつけの病院で確認してください。
ペッサリーには、骨盤臓器脱用とは別に、避妊のために使われる製品もあります。
避妊用のペッサリーは、性交渉前に女性が子宮頸部を覆うように挿入し、精子の侵入を防ぐ器具です。かためのリングとやわらかいカップで構成されており、破損していなければ洗って繰り返し使えます。
骨盤臓器脱用と避妊用では構造も使用法もまったく異なるため、1つの製品で2つの役割は担えません。
骨盤臓器脱の代表的な治療法であるペッサリー療法には、以下のような欠点も存在します。
「手術しなくて良いなら」と安易に選ぶ前に、デメリットについても理解を深めましょう。
ペッサリーが骨盤臓器脱を完治させるわけではないことは、使用前にしっかりと認識しておくべきです。
ペッサリーは、下がった臓器を物理的に支え、位置を補正するための器具です。弱くなった骨盤底の筋肉や靭帯自体を修復する機能はありません。つけている間は症状が軽減されていても、外せば臓器の下垂が元に戻り、再び不快な状態になることがほとんどです。
骨盤臓器脱の根本的治療には手術が必要です。ペッサリー療法は、手術までの一時的な対処法としたり、骨盤底の機能向上を目指す骨盤底筋体操と組み合わせたりすることが求められます。
以下のような合併症のリスクがあることも、ペッサリーの欠点です。
おりものの変化や感染は、腟内に異物を入れることで細菌感染が広がりやすくなります。ペッサリーで腟の一部分が常に圧迫されることは、炎症やただれの原因です。
頻度は低いものの、ペッサリーの長期使用により直腸と腟の間に穴があいたり、腫瘍の原因となったりしたケースも報告されています。
ペッサリーを使っても、以下のようなケースでは下垂感が続くこともあります。
骨盤臓器脱で、複数の臓器が脱出することは珍しくありません。
膀胱瘤の患者さんがペッサリーで子宮と膀胱の下垂を防いだ場合は、空間があくことで腟壁の後方から直腸が出てくることがあります。膀胱の位置が改善しても直腸による下垂感は残り、「ペッサリーを入れているのに良くならない」という不安につながるでしょう。
外れてしまうことがよくある点も、ペッサリーの欠点の1つです。ペッサリーの使用開始時には医師が診察し、サイズを合わせますが、以下の理由により脱落することもあります。
外れることを恐れて大きなペッサリーをつけると、違和感や圧迫箇所の炎症につながります。リング型は自己着脱しやすい一方で脱落の可能性があり、ゲルホーン型のように保持力が高いタイプは取り外しの難易度が高めです。
テスト装着の際に歩行・いきみなどによる違和感を確認し、自分に適した種類・サイズを選ぶことが重要です。
ペッサリーにより、排尿・排便トラブルが起こる恐れもあります。
ペッサリーは臓器の位置を補正する器具で、骨盤底筋のゆるみは改善できません。下がっていた膀胱・尿道が適切な位置に戻り、排尿困難が改善した結果、尿漏れしやすくなる方がいます。尿失禁の症状が表れると、ペッサリーで尿漏れが悪化したように感じるでしょう。
ペッサリーが直腸を圧迫し、便秘や排便困難が出現する方もいます。排便困難の方が便を出そうといきむと、ペッサリーの脱落や臓器脱出の悪化につながります。便のかたさやペッサリーのサイズを調整できないか、医師へ相談することが不可欠です。
ペッサリーのリスクが気になる際は、以下のような骨盤臓器脱の保存療法もあります。
自分の意思で始められ、継続しやすい方法について詳しく解説します。「不快な症状を自分でコントロールできた」という経験は、女性の生活の質を大きく向上させるでしょう。
骨盤底筋体操は、骨盤臓器脱の保存療法の1つです。子宮・膀胱・直腸といった骨盤内の臓器を下から支える筋肉を自分で鍛え、症状改善を目指す方法です。仰向けや椅子に座った状態、立った姿勢など、取り入れやすい体勢で、以下のようにトレーニングを行います。
数回から始め、慣れてきたら1度に行う回数や1日のなかでのトレーニング時間を増やしていきましょう。
骨盤底筋体操はリスクやコストの心配がなく始めやすい一方で、効果を実感するには数か月かかります。骨盤臓器脱が進行している場合は、体操のみでは対処しきれないこともあります。
ペッサリーと同様に骨盤臓器脱の保存療法ながら、身体的リスクが低い方法がフェミクッションの使用です。腟口にシリコン製のクッションを当てて脱出した臓器を支え、ホルダー・サポーターで固定します。しっかりと押し上げて固定するので、体を動かした際のずれを防げます。
フェミクッションは体内へ挿入せず、毎日洗って衛生的に使えるので、合併症の心配はほとんどありません。睡眠時は外すこともできます。装着した直後から不快な症状が改善されるうえ、購入に医師の処方は必要なく、自宅にいながらインターネットで注文可能です。
「リスクを抑えたい」「頻繁に病院に行けない」「すぐに症状を改善したい」という骨盤臓器脱の方の悩みに寄り添った商品だといえるでしょう。
骨盤臓器脱の治療法をお探しの方には、フェミクッションをおすすめします。
フェミクッションは、医療機器メーカーが女性の悩みに寄り添って開発した商品です。下着のようなシンプルなデザインなので、外見からは医療機器であることがわかりにくく、デリケートな症状を他人に知られる心配はないでしょう。
すでに世界の40か国で使われており、骨盤臓器脱専門の病院でも勧められています。初めて購入する方には、必要なアイテムがすべてセットになったスターターキットがおすすめです。
フェミクッションを用いた、リスクの低い骨盤臓器脱治療をぜひお試しください。
銀座リプロ外科では年間800例を超える精索静脈瘤手術を行っております。中でも永尾光一医師はナガオメソッドにより20年以上、精索静脈瘤手術をしており、その手術数は10,000例程度となります。日本ではまだあまり知られていない診療が多いですが、より多くの患者様に気軽に相談していただければと思っております。
c 2019 Association of Microsurgery, Ginza Reproductive Surgery.